9話 いまどきのマンガ

 今のマンガはつまらなくなっているとよく耳にするが、そうだろうか?
 昔に較べたら、一世を風靡するようなマンガは少ないかもしれない。でもそれは当然だ。これだけ娯楽が充実し、人々の趣味も多様化した世の中でみんながそろって注目するようなものは、そう出てこないだろう。

 時代と共に読者の目は肥えてきて、それに対応してマンガもそれなりに進化していると思う。
 「あしたのジョー」だって、「はじめの一歩」を読む前はすごく感動したけど、「一歩」の後で読むと、粗が見えてきたりする。

 あの素晴らしい名作「ブラックジャック」でさえ、今読むと「これは・・・ちょっと問題では?」というところがある。
 それはブラックジャックの元恋人が子宮ガンになり、ブラックジャックが子宮摘出手術をする回の話で、「子宮をとったら、女でなくなってしまうのだ」という説明が出てくる。今現在、こんなことを言ったらクレームがくるだろう。子宮ガン患者を著しく傷つける説明文だ。その上、恋人はブラックジャックと別れ、男装し、女であることを捨てる。今ならそんな描写は考えものだ。
 ただ、「ブラックジャック」が描かれた時代、子宮ガン患者はそういう風に見られていたのだろう。手塚先生は専門に医学を勉強され、博士号も取っていらっしゃる。あの時代にああいう医者のマンガを描いた手塚先生はすごいのだが・・・
 でも、ふと考えてしまう。これが男性の睾丸ガンで摘出手術をしたら「男でなくなった」となり「彼は女装をし男を捨てる」描写をするだろうか・・・

 それはともかくとして、今はガン患者の手記もたくさん世に出回り、有名人もガンであることをテレビなどで告白する時代だ。子宮ガンのため子宮を摘出した向井亜紀さん、亡くなった久和ひとみさんを見て、女じゃなくなったとは誰も思わないだろう。時代は進化しているのだ。

 「ブラックジャック」は時代を超える名作だ。それでも時代が進むと分かる「人を傷つけてしまう問題表現」があるのだ。至高のヒューマンドラマのあの「ブラックジャック」さえも・・・

 前回でも触れたが人々の知識は上がってきている。いろんな刺激にもなれてきている。そんな中でマンガはよく健闘していると思う。昔ほど売れないのも仕方ない。
 昔、マンガはよく映画をお手本にしていた。今は手本というより参考にする程度だと思う。それだけマンガは映画に引けをとらないレベルになったのだと思う。映画の方がマンガを参考にしているケースも聞く。
 そして、もうすでに、いろんなジャンルのマンガが出尽くしている。目新しいものをつくるのは難しい。
 マンガに限らず、映画も小説、テレビドラマもそうだろう。

 すでに成熟期に入っているマンガ界で、これからの新人さんは大変かもしれない。新人ならではの斬新さ、新鮮味を求められるからである。そんなの求められて、人気がとれないので敬遠されているマイナージャンルにあえて手を出してやっぱり失敗・・・という目にあうかもしれない。
 ま、マネでもいいから自分の描きたいものを描くしかない・・・

 これからマンガはどうなっていくのだろう。海外に広がって、今は日本がトップだけど、やがて国際競争・・・なんて時代がくるのか?(最近、韓国ががんばっているみたいだ)
 ハリウッド映画みたいに、マンガも世界の娯楽のメジャーとなり日本が世界を制するのか?  

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