第12話 人気

 マンガ雑誌についている人気アンケートのハガキ、そう、おもしろかったマンガを3つ選んでくださいというあのハガキである。あれでマンガ家の運命が決まるのだ。
 送られてきたはがきから、1000枚無作為で選んで統計をとるのである。たいていどこの編集部も1000でとる。(1000集まらない編集部もあるが)
 そこでおもしろかったベスト3の集計をする。ちなみにその3つの「おもしろかった順番」は関係ないのである。
 1000票のうち何票とれたかでマンガの人気度を計るのだ。

 スーパージャンプではストーリーマンガの場合、150票を切ったら、いつ打ち切りにされても文句は言えないと編集から聞いた。ギャグは80票が目安。私が連載していたときはそうだった。
 少年サンデーで連載されていた「らんま」の最盛期の頃、増刊号に載った「人魚シリーズ」の話では高橋留美子先生の票数は700を越えていたように記憶している。(この数字は増刊号での数字だったような・・・ちょっと記憶が定かではないが700を超えた数字をとっていたのは間違いない)そう、1000のうち700以上も高橋留美子先生はとっていたのである。

 ほかに読者の男女別、年代別で集計していく。このマンガがどういう層の人たちに受けているのかもいちおう集計するようだ。あと、こわいのが、「最近つまらなくなったマンガを1つ選んでください」とか「1番つまらなかったマンガを選んでください」なんていうのもある。当然、集計される。

 でも1番判断されるのは「おもしろかったマンガベスト3」について全体1000のうち何票とれたかで、打ち切りが決まったりする。アンケートを出せば当たるかもしれない「プレゼント」の内容で変化する場合もあるが、それでも1000で集計すれば、ある程度正確な人気の度合いを計ることができるそうだ。

 ま、そこで人気がとれなくても、単行本の売れ行きがいいマンガもある。そういうマンガならアンケートの結果が悪くても生き残っていく。出版社としても単行本が売れた方が潤うからだ。マニアのファンがつけば、マンガ家は食っていけるのである。

 人気の結果について、マンガ家にきちんと数字で伝えて人気順位何位で何票とれたか教えてくれる担当もいれば、口をにごす担当もいる。ま、口をにごすということは、結果が悪かったということだ。ただ、ほかのマンガ家の票数順位は教えてはいけないことになっている。データは編集部のもので外にもらしてはいけないことに、いちおうなっている。でも、いちおうである。
 なかには、すべて教えてくれる編集さんもいたりする。あの集計用紙をみせてくれた担当さんもいた。「本当は見せちゃいけないんだけど」と言いながら、けっこう見せてくれるんでアル。でも教えてくれない人は絶対に教えてくれない、まじめな編集さんももちろんいる。
 それでも昔、編集部に行くと、編集者の机の上に無造作に人気アンケート集計用紙が置いてあったりしたことがあった。丸見えである。

 ただ今は出版社自体の警備が厳しくなり、どこでも、簡単に編集部を覗くことはできなくなってきた。
 前に講談社に行ったとき、ロビーで恐い面相の人が講談社一般誌に載った記事について文句を言っていた。「担当をだしてよ。こんなこと書かれちゃこっちは困ってるんだよ」みたいなことを大きな声で・・・。現在の講談社のロビー(談話室)はめちゃくちゃ広く、マンガ誌だけでなく、ほかの一般誌の人たちも多く、そこで打ち合わせをしている。
 出版不況といわれる現在、生き残りをかけて、マンガだけでなく、みんな必死だ。
 ああ人気、されど人気、人気に振り回されて、「自分」を見失うマンガ家もいる。(ハヤシのことだ)
 でも人気の数字を取らねば、仕事を失う。

 ああ、実はこのホームページのアクセスカウンターの数字も結構気にしているハヤシであった。

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